久しぶりに35mmの映写機を持ち込んで上映してきました。
映画センターの仕事は映画会を決めてから最後に映画を映すところで完結するので、映写は欠かせません。その映写も今では9割方がデジタル上映となり、フィルム上映は数えるほどになってしまいました。35mm映写は何と言っても運び込みが大変です。私の所は一人で行くために1台の映写機を分けて運ぶようにしています。フィルムを掛けて流していくミシン部、ランプハウス、電源につなぐ整流器です。これらが2台づつあります。2セット組み立てるのです。
35mmフィルムは2時間もので7巻ほどのケースに入って届きます。その1巻が15分から25分ぐらいですので、2台の映写機を切り替えながら上映していくわけです。1970年頃までは1巻が10分前後でしたから巻数も多く、切り替えたらすぐに次の切り替えが始まるといったふうに、映写は大変だったようです。その点は、今の方がまだゆとりがありますが、それでもなかなか気を抜くことができません。どこで切り替えるか、知ってますか?
画面の右側の上に2回丸いマークが出るのです。1回目がラストまであと10秒ほどですよ、で使っていない映写機のモーターを始動させます。10秒後に2回目のマークが出て、その時に映写機ランプの点滅をチェンジさせるわけです。その間、見落としが無いようまばたきもできません。聞くだけで緊張しませんか?
映画が誕生してからデジタルが登場するまでの100年余り、ず~とそうやって映画は映写され観客に届けられたかと思うと、フィルム映写は、“映画の魂”みたいなものに触れているような厳かな気分に浸っている時間なのです。